適性試験
法科大学院への入学を希望する人は、法学未修者、法学既修者にかかわらず全員が適性試験を受け、そのスコアを志望する法科大学院に提出しなければなりません。適性試験は、法律学の知識に加え、履修を前提に判断力、分析力、長文読解力、表現力などが問われます。通常は年に2回実施されています。なお、2回とも同質の試験であり、1回だけでも、2回とも受験してもかまいません。試験は4部構成となっており、それぞれの試験時間は40分と短いため、スピーディかつ的確に回答していく必要があります。
法学既修者試験
既修者コースを志望する人のための試験です。法学検定試験委員会が実施するもので、基本的な法律科目である憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法についての知識水準を客観的に評価します。法科大学院によっては、法学既修者であることを証明する資料としてスコアの提出を求めたり、任意として提出を認める大学もあります。
志望理由書(パーソナル・ステートメント)
志望理由書(パーソナル・ステートメント)には、法曹を志望する理由、めざす法律家像、なぜ、その法科大学院に入学したいのかを記述します。一次試験で書類審査を行う法科大学院では、その重要性は大。自分をPRできる重要な書類ですので、主張したいことは十分に伝えられるよう、推敲を重ねながら作りあげましょう。
小論文
小論文のテーマは、法律はもちろん、人文科学や時事問題まで幅広い分野から選ばれています。出題されたテーマを理解し、論ずるためには読解力とロジカルな文章表現力が必要。特に未修者は、十分な小論文対策を行ってください。
面接
「法曹にふさわしい人物かどうか」。法科大学院では、受験生の人物像を探るため面接試験を行います。法曹を志した理由やめざす法曹像、なぜその法科大学院を選択したのかなどが問われます。理路整然と自己アピールできるよう事前の予行練習は欠かせません。もちろん受験する大学の理念やカリキュラムの特徴をスラスラと答えられるように準備しておくことも当然です。
法科大学院の入試は、他の大学院入試に比べて長丁場になることが多いため、受験生への負担は重くなりがちです。ハードな入試を攻略するには「計画性」が大切なポイントになります。法科大学院の入試では、まず全体的なスケジュールを考えましょう。適性試験が終わると、夏ごろから翌年にかけて各大学院の入学試験が実施されます。第一志望をどこにするのか、どの大学をいつごろ受験するのか、併願するのかなどの項目を確定していけば、それぞれの時期にやるべきことが明らかになります。
入試は想像以上に気力・体力をつかうもの。余裕のある受験日程を組むことが成功の秘訣です。
いざ、受験を決心すると、やるべきことの多さに愕然とするかも知れません。まずは適性試験対策、既修者なら法律科目対策、未修者なら小論文対策が必要になります。
志望先の出題傾向によっては、世の中の動きをフォローするために新聞のチェックをしなければなりませんし、法学的なセンスを磨くために読書が必要になることもあります。「パーソナル・ステートメント」などを中心とする提出書類も、きちんとしたものを用意するために十分に時間をかけたいもの。このような対策を、志望先に合わせて志望先の数だけ行わなければなりません。
長丁場の法科大学院受験を乗り切るお勧めの方法は、入試日程と学習計画をクロスさせた計画表を組んで、いまやるべきことを確実にチェックできる形を作り上げること。計画表には書類の作成計画も盛り込んでおきましょう。やることが多いときこそ、「いまやるべきこと」に集中し、淡々とこなすことが重要です。